末端と体幹の連動性 2

足裏の加重位置と正しい骨盤の回転方向

(筋力不足を疑う前に先ずは自身の動作を見直してみる)

 

以前、身体の末端と体幹の関係として手首と肩(肩甲骨)の関係について少しご説明させて頂きました。

今回は、足裏と骨盤の関係について少しご説明させて頂きたいと思います。

 

1、足裏の加重位置と骨盤の回転方向による身体の使われ方の違い

 

① 骨盤を中立(ニュートラル=正しい位置)にしてニュートラルロードラインに加重(母指球や踵も接地している状態)している動作→正しい姿勢で起立(静止)出来ている状態、歩行動作や走動作、スポーツ競技動作等でのフラットタッチダウン動作の着地(接地)の瞬間。

 

*ニュートラルロードライン=薬指のラインを中心とした土踏まづ横の足底部分

*フラットタッチダウン=歩行動作や走動作、スポーツ競技動作等で、ニュートラルロードライン付近から脛を垂直にして足底が水平に近い状態で着地(接地)する動作

 

Dモーショントレーニングマシーンを使って正しくトレーニングして頂きますと、全身の動作バランスの関係で歩行動作や走動作、また、スポーツ競技動作での足の着地がフラットタッチダウンに近付いて行きます(習得の為にはフラットタッチダウン自体の動作練習も必要に成ります)。

フラットタッチダウンは身体への負担が少なく高いスポーツパフォーマンスの発揮に繋がる身体操作技術で、スパイラルムーブメントやスリージョイントインライン等と並び4Dモーショントレーニングシステムに於ける中核技術の一つに成ります。

 

*スパイラルムーブメント=拮抗筋同士の同時収縮(身体の力み)を防ぐ為に生まれる四肢の内外旋運動(またの機会にご説明致します)

 

*スリージョイントインライン=下肢の大転子、膝の外側、足関節の外側(薬指のライン)を垂直、または鉛直線上に揃えた軸(ライン)の事

 

 

(フラットタッチダウン走法で高いスポーツパフォーマンスを発揮した代表的な選手=野球のイチロー選手、陸上競技の桐生祥秀選手、ウサイン・ボルト選手、カール・ルイス選手等)

 

*姿勢が悪く骨盤後傾、反り腰(過度の骨盤前傾)等で骨盤をニュートラルな正しい中立位置に保持出来ていない場合は、全身の動作バランスの関係で起立(静止)した状態でニュートラルロードラインに正しく加重する事や、歩行、走行、スポーツ競技時のフラットタッチダウン動作自体が困難に成ります。

 

② 踵寄り(母指球やニュートラルロードラインも接地している状態)に加重して骨盤を前傾(身体の前傾ではなく骨盤自体の前方への回転運動)させる動作→股関節(お尻や腿裏)が使われる動作

(歩行動作や走動作、ジャンプ動作等のフラットタッチダウン動作直後の踵が踏み込まれたフェーズ⦅場面⦆や相撲等で強い力を発揮して前方へ押し出す瞬間のフェーズ等)

 

③ 踵寄り(母指球やニュートラルロードラインも接地している状態)に加重して骨盤を後傾(身体の後傾ではなく骨盤自体の後方への回転運動)させる動作→膝(腿前)が強く使われる動作

 

④ 爪先(母指球)寄りに加重して骨盤を前傾(身体の前傾ではなく骨盤自体の前方への回転運動)させる動作→膝(腿前)が強く使われる動作 

 

⑤ 爪先(母指球)寄りに加重して骨盤を後傾(身体の後傾ではなく骨盤自体の後方への回転運動)させる動作→股関節(お尻や腿裏)が使われる動作

(卓球やバトミントン等の球技や格闘技等での速いステップワーク、柔道の背負い投げ動作の後半のフェーズ、各種競技のジャンプ動作の後半のフェーズ等)

 

*日常生活を楽にしたりスポーツパフォーマンスを向上させる為には出力が大きく疲れ難い大筋群(殿筋群やハムストリングス等)が集中する体幹側の股関節を上手に屈曲伸展(曲げ伸ばし)させられる身体の使い方を身に付けたいのですが、③及び④は膝(比較的小さい大腿四頭筋等)が中心として使われて、出力も小さく疲れ易い上に故障等にも繋がり易い動作で有る為余りお勧めは出来ません(メカニズムの詳細はトレーナー相星へお尋ね下さい)。

 

 

 

2、トレーニング時のプレートやペダルの操作方法

 

 ① 足指をプレートやペダルから外してセットする(足指が強く働くと体幹側の股関節や骨盤が固定されてしまい動かし難く成ってしまう身体の仕組みが有ります)。

 

 ② 母指球等五指の付け根はプレートやペダルから外さない

 

 ③ 下肢のスリージョイントインラインを形成し、足の外側(ニュートラルロードライン=薬指のライン)を身体の前方に対して真っ直ぐに配置する

(一部ニュートラルロードラインが内向きに成ったり外向きに成ったりする種目も有ります/ 詳細はトレーナー相星へお尋ね下さい)

 

 ④ マシーンからの負荷を足首を背屈(脛方向へ曲げる)させながらニュートラルロードラインを中心にして受ける

(このタイミングでは骨盤は前方へ回転しプレートやペダルが身体に近付くに連れ負荷が徐々にニュートラルロードライン側から踵側に移ります)

 

 ⑤ プレートやペダルから受け止めた負荷を足首を背屈させたまま踵側から踵を押し出す様にして返す

(このタイミングでは骨盤は後方へ回転します⦅骨盤が前方回転から後方回転に転じる時に踵に力感を感じます⦆、足裏の荷重は踵側からニュートラルロードライン、薬指の付け根を経由して母指球側へ抜けて行きます/動作終盤に一連の流れの延長で荷重が抜けるタイミングで足首が底屈⦅足底方向へ曲がる⦆する動作はOKですが母指球に強く加重する迄意識的に足首を底屈させる様な動作は余りお勧めは出来ません)

 

⑥ 身体の側方から見てプレートやペダルに対して脛の角度を90度に保って動作する事が理想ですが、股関節が硬い方は膝を曲げても爪先より前に出さない様に注意します。(脛の角度が90度より後ろに傾く動作はNG動作です)

 

    *実際のトレーニングでは股関節の内外旋(回転)動作が入る為、更に足部の回転運動が生じますがその辺のお話しはまた別の機会にさせて頂きます。

 

    ここまで様々な技術をご説明させて頂きました。上記は何方にも押えて頂きたいあくまでも基本の部分です。

お身体は千差万別です。基本をしっかり身に付けて頂き、その先に有る個性開発、感性が要求される領域へ繋げて頂く事が出来ましたら幸いです。