筋肉の収縮力(筋力)や収縮スピード(瞬発力)を求めるだけでは越えられない事

当施設では、トレーニングの際、細かな身体の扱い方や技術指導をさせて頂く事が有ります。

 股関節や骨盤のトレーニングで有れば、大転子、膝の外側、薬指のラインを鉛直線上や垂直に揃えてトレーニングして頂いておりますがその件を例に取り、少しお話をさせて頂きます。

 上記のライン(以下スリージョイントインライン)を形成して頂きたい理由は様々有るのですがお話が複雑に成りますので一つの理由をご説明させて頂きます。

 トレーニングによりスリージョイントインラインが歩行動作や走動作で形成出来ますと、着地脚側の腰や肩が身体の前方から見て着地脚の外側へはみ出さない形に成ります。

この形(ポジション/下肢アライメント)が取れますと歩行や走行で、着地と同時に反射的(瞬間的)に着地脚を軸脚として動き出せる様に成ります。

 歩行や走行では着地した脚を軸脚として身体を斜め前方、(着地脚の内側方向=反対脚方向)へ進めたいのですが殆どの方が身体の硬さや歪み等の関係でスリージョイントインラインは形成出来ておらず、着地脚側の腰や肩が着地脚の外側(横)へはみ出した形(アライメント)に成っています。

スリージョイントインラインを形成して着地した場合と比較して腰や肩が身体を運びたい方向と反対方向へ出た形に成っていますので、軸脚で身体を同様な距離(位置)まで運ぶ為にはスリージョイントインラインを形成して着地した場合と比較すると若干時間が掛かります。

身体重心(骨盤周辺)も軸脚の運びたい方向と若干反対方向へ位置していますので無駄な力も使ってしまいます。 

 陸上のスプリント競技やスピードスケート等100分の1秒を争う様な競技ではこの様な一歩の遅れの差の連続した積み重ねが決定的な差を生んでしまいます。

対人競技では、対戦相手との力量差やお互いの状況等様々な要因が重なる為以下の限りではないとは思いますが、球技でフェイントを掛けた後にドリブル等で相手を抜けるか抜けないか位の差、ボクシングや格闘技ですと自分の打撃を相手に当てる事が出来るか出来ないか、相手の打撃に対処出来るか出来ないか位の差に成ってしまう事も少なく有りません。

上記は一例ですが、筋肉の収縮力や収縮スピードを高めるだけでは解決出来ない事が有る事を是非知って頂きトレーニングに於ける動作(身体操作法やトレーニングフォーム、技術的要素)を大切にする事の意味をご理解して頂けたらと思います。